ドーナツたべたい

アラフォー腐女子の美容や音楽

花を買って、お盆が来る。

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『お花は今日買うでしょ。
チャッカマン、ちゃんと火が付くか確認しておかないと。
あ、お線香の数が足りないかもしれない。』

 

今朝、出勤途中に市(いち)が出ていた。
今日は十二日で市が出るのは四と九のつく日だから、本当だったらこの道沿いはいつもの寂れた商店街の一本手前の路地のはずなんだが、たくさんの買い物客と露店で賑わっていた。
蒸し暑く今にも一雨きそうな分厚い曇り空の下、いくつもの色褪せたパラソルが並んでいる。
見れば、川向うに住む市専門の花屋さんのおばちゃんも家族総出で花を広げて売っていた。
お盆を迎えるための準備に特化した市なので、どの売り手もお花と御招霊さま用のちいさくて色のきれいな野菜しか扱っていない。それでも買いに来る人はいっこうに絶えず、おばちゃん一家は忙しそうにあちこち走り回っている。
私もそこに混ざって明日の墓参り用の花を買うことにした。
一つ六〇〇円、じゃあ六つで三六〇〇円。手渡された切り花たちはしゃんとして鮮やかに咲き誇りスーパーで見かける同じ商品よりきらきら輝いて立派に見えた。
「わたしね、たくさんお墓参りしなきゃならなくて。一か所に一つのお花でもいいのかな?」
そんなにお金もかけられないし、恥ずかしそうに言う私に、
「気持ちなんだからいいんだよ。」
おばちゃんは笑顔でそう答えてくれた。
その一言でなんだか救われた気分になる。当たり前で簡単なやりとりだけど私が欲しかったことばだった。

 

新聞紙にまかれた花束を抱えて歩けば、どこからかラジオの古い歌謡曲が聴こえている。
まるで知らないうたに懐かしさをおぼえた。
露店の誰かがかけているんだろう、ラジオ自体も年代物らしく音が割れてそれがやたらノスタルジックで。改めて自分が昭和産の女だと気づかされる。

仏様用の花を手いっぱいに抱えて出勤した私は、バケツに水を張ってそこに花をいれた。職場の玄関の隅に置く。
あんまり素敵でスマホのカメラを起動して何枚か写す。
ああ、お盆が来るのだ。

 

主人の本家と、主人の父親と、主人の祖父と、私の父方の祖父母と、私の母方の祖父、私の祖父の親戚。
墓がだ。
本当はこんなに回る必要ないのかもしれないけど、ここ数年は私と主人で六か所のお墓を十三日に一日かけて回るのが恒例になっている。

田舎から田舎に嫁いだアラフォーがあちらの田舎からこちらの田舎へ、都会の常識が一切介入しない墓参りツアー。
さて私の娘は将来、はたして何か所の墓をめぐる羽目になるんだろうか。こんなもん暑くて本当に大変だから、一つでも減らしてあげたい。
だが別に私は墓参りが嫌いというわけではないのだ。
むしろ年一の恒例行事としてちょっと楽しみにしている。
だってスマホのリマインダーに、墓参りのリストを作っているくらいだから。
しかし別に慣習にうるさいとか、信心深いだとかとは明らかに違う。もちろん几帳面とは程遠い性格だし。(仏壇の所有・管理とかは考えたくもない)
でも結婚したての若い頃はほとんど知らない親戚の墓なんて実感がなくてめんどくさくすら思っていたのに、やっぱり大人になってよくしてくれた身近な人が亡くなるとお盆くらいお墓を訪れて手を合わせようって思える。
これはごく自然なことだと思う。

今年の墓参りも終わっていないのに、来年も主人と元気に墓参りツアーができるといいなって思っている。
いつまでもナウでヤングなつもりであったが、私もたいがいババアになったもんだな。
まあこうやって歳重ねるのも悪くないけど。

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墓参り持っていくものリスト

  • バケツ

  • お墓洗い用のタワシ

  • 柄杓

  • 線香

  • ロウソク

  • チャッカマン(火が付くか事前に確認)

  • お花

  • ハサミ(お花切り揃え用)

  • ゴミ袋

  • 新聞紙

  • 虫よけスプレー(藪のある墓で活躍)

  • ムヒ

  • タオル

  • 氷のぎっしり入った水筒

  • 2リットルお茶ペットボトル(水筒に都度足す。水分補給忘れずに。)

  • 日よけグッズ(帽子、ストール、手袋、日焼け止め)