ドーナツたべたい

アラフォー腐女子の美容や音楽

【30代女性】コロナワクチン3回目接種【副反応】

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去る3月20日日曜日、モデルナのコロナワクチン3回目の接種をしてきたので
その経過を記します。サンプル数1。

 

この記事に向いている人

  • 1、2回目がファイザーで、モデルナの副反応が不安な人
  • 周りにまだ同世代の3回目接種者が少なく不安がある人

 

 

接種者

30代女性(アラフォー)

カシューナッツアレルギーだが、その他特に疾患はなく標準的健康体

 

2回目までの副反応

1回目

腕の痛みのみ
初めての接種で痛みがいつ終息するかわからず戸惑いが多かったのですが、
2、3日で良くなりました。

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1回目接種後当日。患部の腫れなし。

 

 

2回目

26時間後に38度以上の発熱・強い関節痛あり。
市販の解熱剤服用し横になる。
6時間後には平熱に戻りました。
腕の痛みはあったが特に気にならない程度。

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これが副反応!!と写真に収める私

 

 

3回目接種から副反応まで

接種

翌日3/21が祝日で一般的にはお休みということもあり、予約は接種時間最終枠まで満員。
私は17時に接種しました。

皆さんやはり翌日休みでないと安心して接種できないという事かと思います。

なので日曜はそこまで混んでいない日もあるそうです。

接種を受けた高齢者の中には全く痛みを感じない方もちらほらいらっしゃるようですが、 わたしは普通に薬剤が注入させる痛みがありました。
0.25ml、つまり前回の半分の量ですね。

 

副反応

接種10時間ほどで腕の痛みが強くなってきましたがよく眠ることが出来ました。

発熱はないものの翌日いっぱい、だるさがあり普段しない昼寝を3時間もしました。

夜には寛解。 その後3日ほどで筋肉注射の痛みからも解放されました。

 

 

 

これから3回目の接種を受ける人へ

モデルナは何日も発熱が続く・若い人ほど副反応が強いといったイメージが強く、
ファイザーで1,2回目にそれなりの副反応が出ていると不安が強いものでしたが、
思ったほど副反応はありませんでした。

接種会場でもさんざんアナウンスがるように副反応は個人差が激しいので、参考程度にとどめてほしいのですが、

  • 発熱はしなくてもだるさはあるので、できるなら休前日に接種を行い、翌日は仕事は休み安静にした方がいいと思います。
  • また、1,2回目副反応の有無にかかわらず、副反応が強く出てしまった場合に備えてお薬や食べ物、お水、諸々の準備はあるといいですね。備えあれば憂いなし。

 

スマホアプリ「接種証明書」

デジタル庁と厚生労働省が出しているスマホアプリ「接種証明書」

マイナンバーカードがあれば自分で簡単に手続きが行えます。
私も3回目を今ほど登録しました。

これさえあれば、接種会場で接種済証を持ち歩かなくていい!
便利です。(まだ使ったことないけど)

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スマホアプリ「接種証明書」3回目登録後スクショ

 

 

 

終わりに

巷では、ワクチン接種4回目についても話が出てきています。

コロナウイルスとは今後も共存が続きそうですし、
いつかインフルエンザワクチンのようにお金を払って接種するものになるのだろうけど、私の接種は当分つづきそうです。

ただ、今回のモデルナ接種したことで、接種が怖いものだという意識がだいぶ捨てられたのは個人的には収穫でした。

【ネタバレ感想文】石沢麻依 貝に続く場所にて【第165回芥川賞】

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石沢麻依 貝に続く場所にて

2021年12月20日読了。 個人的なアウトプット、ネタバレのある読書感想文。

感じたこと、気づいたことのまとめ。ゴリゴリの主観でお届け。

 

あらすじ

舞台は2020年のコロナ渦、9年前の東日本大震災で行方不明となった大学の単なる知り合いである野宮を、主人公の里美が住むドイツ ゲッティンゲンに迎え入れる話。

前提として野宮はガチで幽霊だし、このまちでは夢の中のようなことが当たり前に起こる。

2011年3月当時、里美も震災を経験したが、沿岸部ではなかったため、津波の直接的被害者である野宮の記憶に触れることへの後ろめたさから距離をつめられない。

それでもゲッティンゲンでの幻想的な交友関係の中で少しづつ野宮と向き合う里美。

野宮は最後、消えていたかもしれない。

それが里美の中でなのか、野宮の中でなのかはわからないけど。

読んだきっかけ

第165回芥川賞受賞作ということだけで、「震災」「ドイツ」以外のワードを知らずに文芸春秋で読んだ。

単行本は162ページ。

作者:石沢麻依(文芸春秋インタビューから)

1980年生まれの女性。大学院を出るまで仙台にくらした。現在ドイツ在住。

ゲッティンゲンにも住んでいたことがある。

美術史に通じ、家族も読書家であるため、日本にとどまらず各国の作家の本を愛してきた。

名著から引用されたたくさんのしかけ 聖人の名前・持物 惑星の小径や星座など天体 など私にとって知見のない分野のことばかりで、余計に作者頭いいんだろうなあと思った。

 

 

 

雑に登場人物の紹介

小峰 里美(主人公)

論文を書いているが進んでいない

どちらかといえば控えめな性格 実家は仙台で妹がいる

作者と似た部分が多いことから40歳くらいの独身女性かも

アガータ

主人公とルームシェアしている女性

基本的に明るい、森愛好家(時に過激派)

散歩で森の地面からとにかくなんでも引き釣り出すトリュフ犬のヘクトーの飼い主

実は母の自殺(そのことと向き合いたくない)から姉との確執がきえない

ウルスラ

作者曰く夏目漱石な樹木的静謐系初老博識元ドイツ語女教師

家じゅう本だらけでミステリアスすぎるけどみんな集まってくる

木曜の集いを開き、おいしい木星オマージュタルトをふるまってくれる

交友関係がとてつもなくひろいので登場人物全員を結びつける結束点

その他の木曜人たち

バルバラとアグネス 母娘

カタリナとルチナ いつも一緒に出てくる若い女性たち

野宮

9年前に津波にさらわれた行方不明者

今は幽霊だがゲッティンゲンに住むことになった

里美とは恋でも友愛でもない、大学での美術史専攻の知り合いという間柄

多分そこそこイケメン

寺田

野宮とゲッティンゲンでつるむ日本人、寺田寅彦

この実際に存在していた偉人につて、私はまったく知らなくて読了後ググったけど、夏目漱石にゆかりのある物理学者でゲッティンゲンに住んでいたこともある人らしい

生きた時代が違うからかとくにモノトーンの印象が強い

野宮と里美の共通の日本友人

澤田

山形の美術館で学芸員をしている男性

大学では野宮と里美と同じく西洋美術史を専攻

野宮とは仲がよく、彼から最初に連絡を取った人物

晶紀子(あきこ)

ベルギー在住の女性

里美と同じ研究室出身

はっきりした性格

 

 

 

印象的だったシーンやキーワード

ゲッティンゲンという静かで不思議なまち

時間と距離、記憶が混濁している

まず「ゲッティンゲン」が「月沈原」というのが最高にエモい

月が沈む原ということは、そのこうこうと輝く月明かりさえも草原に吸われ溶けて淡くひかえめに世界を照らし、湖の底のような静けさが漂う言葉じゃない?!

聖人の痛みを象徴する持物(アトリビュート

トリュフ犬により発掘されウルスラの家で展示される森の地中から出てくるにしてはありえない品たちは、それぞれが登場人物おのおのの持物となるのだが、アガータは乳がんだった母親のおっぱいだし、ウルスラはマントだし、バルバラは写真だった。

土の中から犬が掘り出すものなのに?!

気にしたらダメ。里美の背中に突然生えた永久歯をアガータが5つもスプーンのみで抜くんだから。出血もなく。

そういう物語なのだ。気にしたら負けなのだ。

惑星の小径(こみち)

これはゲッティンゲンに実際あるらしい

以前あった場所から冥王星のブロンズ版が移動しているらしい、冥王星は時に現在の場所、以前の場所、同時に存在するなどなどのことがSNSで騒がれたりするのがおもしろい。

アトラクション的体感型霊障ってかんじで、みんな興味本位で楽しんでいたりする。

価値観というか常識というかがバグっているのが時空のゆがみをさらに感じてなんだかアニメチック。

 

 

 

感想

幻想的、抽象的な比喩が多くいまいち想像しづらいので正直読みにくい。

つづられる文章の美しさありあまる表現力が、現物をあいまいにする魔法をかけているように感じた。

現実でおこる不思議なことについて、読み進める程に、固執しなくていいのだと思える。

ふわっと何となく読んでいたほうがいいと思う。

最初は野宮が幽霊であるというのは何かの比喩で、実際は里美の見ている幻なのかと思っていたけどそういうことじゃない。

本当にガチで幽霊(記憶?)なのだ。

そういう風に、どこからどこまでが現実で同じ時間軸で同じ場所なのか、入り乱れつながり、なだらかに渦巻いている。おだやかなカオスだとおもう。

普通なら気になること、具体的にはアガータがどうなったか、他の木曜人たちがどうやってそれぞれの結末にむかうかなど、本来読み手が重要に思うようなことは全然明らかにされないのも、この作品の持ち味をさらに味わい深いものにしているのかもしれない。

(ただ高尚さのかけらもない私からすれば、きになるから教えてくれよ、とも思う)

【ネタバレ感想文】伊藤潤 天下人の茶【第155回直木賞候補作】

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2021年11月7日読了。 個人的なアウトプット、ネタバレのある読書感想文。 感じたこと、気づいたことのまとめ。

あらすじ

第一部(問題提起でありプロローグ)第二部(エピローグ)は利休死後の能にのめりこむ秀吉が『明知討』仕舞の最中に考えていることであり、それに挟まれた本文は4つに分かれている。

その4つの物語は利休の高弟たち(牧村兵部・瀬田掃部・古田織部細川忠興)を主人公にそれぞれの茶の湯と生き様が語られる。

茶の湯に、乱世という時代に、翻弄される弟子たちだが、利休は天下を静謐に導くことだけを考えていた。 利休は秀吉と一心同体となり、生きてたたかいその命を終えた。秀吉は利休が死んだあとも、利休に操られ続ける。最後の一行、「いったい、わしは誰なのだ」から利休が死んだとき秀吉もまた死んだのだと感じた。

読んだきっかけ

利休関係の本をネットで探していて見つけた。 ミステリー小説と説明があったので読んだこともないしかなり身構えたが、利休にたずねよよりページも少ないし挑戦。

 

要約

目次ごとに内容をまとめました。主観がすごい。

第一部

舞うことで利休(茶の湯)から逃れようとする秀吉。
「殿下とわたくしは一心同体でございます」

信長により、当時堺州の一人にすぎなかった利休と初めて対面する秀吉。
「人は豊かさよりも安んじて暮らせることを求めるとは思いませんか」
当時の秀吉はそれを建前えと思っていた。

奇道なり兵部

メイン:牧村兵部 サブ:高山右近

求めても手に入らない自分だけの詫び

利休に、真似ばかりではなく奇道を行き自分だけの詫びをみつけていない、と言われたことを気にしていた兵部。
小牧長久手の戦い、窮地に追い込まれた秀吉の甥、秀次を奇道を見定め救うことに成功。
高山右近から勧められた耶蘇教に入信するも、時勢により棄教。中心人物である右近にも棄教をせまるが、聞き入れられず、右近は常道(形だけ棄教し心では耶蘇教に頼る都合のいい生き方)をいく兵部を侮蔑する。
朝鮮出兵時、兵部が民家で見つけた高麗茶碗は、夢の中で利休に認められた品にそっくりだった。戦場を離れ夢中に茶碗を漁っている中、敵襲に遭い現地の民によって殺害される。

過ぎたる人

メイン:瀬田掃部 サブ:山上宗二

託される者、成し遂げられないおもい

茶杓の名人である掃部は、利休に「この櫂で渡っていける、この国を正しき方向に導かれよ」と託される。
小田原攻めで北条に間者として潜り込んだ掃部は、山上宗二と再会し茶杓「春雷」を形見分けされる。
利休死後、掃部は秀次に秀吉殺しを持ち掛ける。それから深三畳台目の草庵数寄屋で秀吉と秀次、掃部の茶席をもうけ、計画を実行するが、秀吉に「春雷」が象牙とばれ、掃部は気の動転した秀次によって春雷で首を貫かれ絶命する。

ひつみて候

メイン:古田織部 サブ:小堀遠州

時代は移り変わる

  • 遠州が一人前の茶人になっても、ぬるきもので終わると決めつけ雑用を申し付けている織部
  • 織部と温泉につかる利休 秀吉が茶の湯に飽きれば自分たちも用済みといわれ、ぞっとする織部
  • 利休と最期の別れをする織部
    利休は「独自の境地を持った茶人だけが権力者に迎合し、新しい茶の湯を創造し、世に問う(政治を動かす)ものが必要。それができるのは織部だけ。我が座を譲ります」と託した。
  • 秀吉の死の床の織部
    「わら屋に名馬をつながずでもよい」と侘茶の喩えに対して皮肉る秀吉。 そういって、一視同仁となった茶を大名たるべき茶へとりもどすことを織部に託し半月後死去。
  • 大阪の陣
    秀吉死後、織部が豊臣を擁護していることを良く思わない徳川は、細川忠興をよこし諫める。織部もここで終わるは本望ではないと、これに応じ謝罪することに。しかし事態はなぜか暗転し、織部は追い詰められ切腹を申し渡される。その頃には大阪城も落ち、豊臣も滅亡していた。
  • 最期の時
    切腹直前、介錯遠州と話す。遠州は長年軽く扱われてきたことを根に持っていた。織部が追い詰められたのは遠州の謀略によるものだった。 「きれいさび」をもって利休・織部に伍していくと言う。また織部の茶は歪みすぎて誰もついてこないと一蹴する。古い、と。 無念の中切腹する織部。死後、商人たちは織部焼を一斉に破棄。埋められもしない器で井戸が埋まるほどだった。

織部が傲慢で悲しい死を遂げるけど、私は織部の茶が好きです。

利休形

メイン:細川忠興 サブ:蒲生氏郷

すべてを知るふたり

  • 病床の氏郷を見舞う忠興
    ふたり、秘密を知るものであるが、自分たちにはどうしようもなかったと語らう。
  • 信長法要の席
    大勢の前で形(なり)について秀吉に説く利休。「きらびやかな詫び」が秀吉の形だという言葉の謂を忠興は判じきることができなかった。 その後、氏郷・忠興・利休・宗二の金の茶室を披露する秀吉。利休は絶句した。その真意を忠興は問うが、「茶にできることは大したことではない」と言われる。
  • 小田原攻め
    北条の降伏の使者、山上宗二を迎え入れる秀吉。案の上宗二は秀吉を怒らせ、利休は「何もわかっていない」と言い、自らの手で弟子宗二を殺め鼻と耳を削いだ。
  • 秀吉の唐入りをすすめる利休
    兄の朝鮮出兵を最後まで反対した弟秀長は1591年正月に病死。その後、氏郷・忠興・利休・秀吉は二度目になる金の茶室での席で、すべてを決しようとしていた。 信長を謀略によって亡き者にする企てを秀吉に持ち掛けたのは利休だった。
    細川幽斎(忠興の父)を巻き込み明智に焚きつけてすべてが始まった。今井宗及を遠ざけ、宗二を殺し、天下を秀吉に取らせたのは紛れもなく利休だったのだ。 現世(秀吉)と心の内(利休)はいつしか互いに侵し合い、支配し合おうとしている。それが互いに気に入らない。 唐入りをすすめたのは秀吉の求心力を削ぐためだった。 秀吉は自分の邪魔をする利休がうとましい、利休は秀吉が思い通りににならず自分の願いがかなわないことを悟って、ここまでと悟る。こうなれば自分が消されることは最初から分かっていた。利休は自分を葬る算段をまるで自分のことではないように秀吉につたえた。
  • 氏郷の邸に視点はもどる
    金の茶室が詫びの究極の姿の一つという答えにたどり着く氏郷と忠興。 秀吉の才に気づいた利休は遠ざけたかった。そして死を賜り、秀吉を能に傾倒させることで、利休は美の支配者として永遠に君臨し続けたかった。秀吉と利休は、形の合わなくなった割れ茶碗。いつかこうなることは最初から分かっていた。

第二部

茶の湯御政道で茶会の許しを得た秀吉に近づく利休。秀吉との一亭一客の茶会で、右府様(信長)は恐怖で治世しようとしていること、自由とは程遠いことを説き、自分にまかせてほしいという。利休は秀吉の野心を見抜き利用したのだ。 信長暗殺のあとも二人は数々の政敵を斃していく。それとともに茶の湯は万民が楽しめる侘び数寄に発展させ、表は秀吉・裏は利休となっていく。 しかし大陸の覇者を目指す秀吉の思いがふたりを引きはがした。

終盤に差し掛かる「明知討」の舞の中、利休との出会いから今までのことが走馬灯のように脳内を駆け巡る秀吉。第一部、冒頭に戻る。

 

登場人物

雑に人物紹介。主観がすごい。

千利休

基本的におっとり系のミステリアスな茶聖。しかし修羅なのでこの世の静謐のためなら平気で右府様も謀殺するし、愛弟子すらその手で殺める。

豊臣秀吉

利休に人生ごと乗っ取られかけた太閤。わがままだが一生利休が怖い。出自が悪いのでわかりにくいが実は才にあふれている。

織田信長

すこぶる頭のキレる大英雄。貿易ででっかい富を得る現実的なビジョンを持っていて、実行力もある。

牧村兵部

まったくと言っていいほどかっこいいところがないが、その死にざま、悲しくもひとつの終わり方だなあと思った。

高山右近

凛としまくっている特級耶蘇教信者。神に身をささげた、完全に筋の通ったおとこ。 その勧誘手法は現代の宗教勧誘然としていかがわしさ満点であるにもかかわらず、こいつに勧誘されたらみんなハライソにいきたくなりそう。

瀬田掃部

ごついくせに手先の器用な武者ってかんじ。大きな男が背中を丸めて夜な夜な茶杓を削っているかと思うと可愛い。自分がやらねば!!という熱すぎる使命感がいきすぎて慢心となり秀吉暗殺に失敗するが、掃部のせいではない気もする。かわいそう。利休も誰彼構わず思いを託さないでほしい。

豊臣秀次

太閤の甥。根性もないしビビりでカス。ステータスがモブ。 しかしキャパオーバー時暴走することも。保身しか考えていない。

山上宗二

やりたいことやったもん勝ち青春なら!秀吉を怒らせる天才茶人商人。 死に際が利休にすら牙を剥く狂犬ぶりで、最期は利休すらキレさせるというハチャメチャぶりが宗二らしい。どの本でも宗二は結構好き。

古田織部

傲慢織部。それだけ尊師のお気に入りならそれは傲慢にもなる。 最期は天下を静謐に導こうとしていたのに、足元をすくわれて自業自得にもかわいそうだった。尊師みたいに黙って死のうと思ってたのに、ガチギレさせるとか遠州たち悪すぎる笑

小堀遠州

何でも卒なくこなす、これと言って特徴のないどこにでもいる量産型女子的顔つきの武将。見くびられていたからといって汚い手を使って師をころすとは!肝っ玉がちいせえ!茶の湯で勝負しろ!!私は織部の斬新さが好きだからな!! きれいさびとかいうダサさ満点の武家茶道が本気で好かないので辛口。

細川忠興

クソ真面目朴とつ武将。何事も裏表なくすなお。なぜなに忠興。 氏郷とはマブダチ。使い勝手がいいのかあちらこちらの人生に重用されている。

蒲生氏郷

私が氏郷について全然知らないため、忠興パートで死にそうなところをみて病弱なのかと思ってしまう。 優秀武将さん。秀吉の金の茶室を見た時、すごい、と思える感性を持っているs級茶人。

 

印象的だったシーン

  • 牧村兵部が死ぬシーン
  • 瀬田掃部が死ぬシーン
  • 古田織部が死ぬシーン
  • 上を踏まえて、細川忠興が死ななかったこと。

この物語で死ななかった忠興だけが持つものとはなにか?
私は忠興だけがとにかく謙虚。自身を正しく評価できているのは忠興だけと感じた。

茶室茶庭、潜り門、その他茶の湯の「境界」には外と内、現世と異界といった隔たりが存在し、また、『茶の湯座敷の室礼(しつらい)には陰陽五行説を元にした厳格な尺を用い、手前座は陰陽五行から成り立ち、道具類もまた取り入れられている』とある。そのことを何度も引っ張り出してくることから、秀吉と利休の関係性がまるで光と影のように決して離れられないものだと教えられている気分になる。

感想

読後感は悪い意味ではなく「かなり血なまぐさかったな」「気持ちのいい話が見当たらない」

ちょっとヒカルの碁みたいな話。(碁の名手の幽霊が主人公にとりついて指南するが、主人公が力をつけ幽霊なしでも動きたくなるところが。結末は違えど)

絶対に利休にストーリーテラーをさせないところが憎い演出。素敵。ミステリアス。

天下人の茶、とは、利休の茶、という意味なのかもしれない。

アイキャッチ制作は、一つのテーマに絞ることが難しかったので難航したが、表紙のイメージと「武将」「乱世」などのキーワードから制作。

伊東潤さんの『茶聖』!張り切って図書館で予約した。

【ネタバレ書評】鬼塚忠 花いくさ【野村萬斎主演映画『花戦さ』原作小説】

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2021年10月27日読了。

個人的なアウトプット、ネタバレのある読書感想文。

感じたこと、気づいたことのまとめ。

 

あらすじ

織田信長が天下を取る前の清洲城で利休と運命的な出会いをする専好。

信長死後、秀吉に牛耳られる天下で、利休は一介の茶人としての発言力以上のものを持つことになり、秀吉の怒りを買い自刃する。

利休と親交が深かったことで、専好も秀吉に目をつけられてしまい、六角堂を支えてくれた人々(季や吉右衛門)を失う。

繰り返される悲しみに終止符をうつべく、専好は秀吉に勝負を挑むことを決意。前田利家邸にて秀吉と対峙する。

一時は秀吉と刺し違えることすら覚悟した専好であったが、利休の遺した手紙により、花の人としていくさを完遂させた。

読んだきっかけ

利休にたずねよ』関連でネットをしていたら野村萬斎主演の映画があることで出会った。

レビューを見て、どうやらとても読みやすいらしく、気軽に楽天で中古を送料込み200円くらいで購入。

映画はキャストも豪華で本を読み終わったら見てみたいと期待していた。

戦国を舞台とした二次創作にも資料として足しになるかと思って。

 

 

登場人物

池坊専好

主人公。

六角堂の住職。祖父の代(応仁の乱以降)から花の名手として名高い。 京言葉をつかう柔和な中年の僧。特徴なくどこにでもいる中肉中背のおっさんで人ごみに紛れたらわからない。 人情に厚く朗らかで、下京の町人から愛されている。

妻:おたみ 優しく穏やか良妻賢母

息子:豊重 立派な男児。僧になるための修行から戻り花の稽古に励む。幼馴染の季が初恋だった。

娘:桜子 天真爛漫な11歳。父上に甘えるのも上手。吉右衛門に可愛がられている。

池坊専武

7つだか6つ年下の専好の弟。

線が細く病弱だが花の才能は専好以上かも。 兄を慕い、付き従う。奥様はいないのかな? 少年期から壮年期にさしかかっても、ずっとあどけなく行動言動ともにかわいい。恐らく美少年。言う時はけっこう言う。

平太

花を調達してくれる大柄な男。専好が花を立てられない日が続いても一日も欠かさず花材を調達し、尽くすことを難と思わない。 天涯孤独で無口だが心優しい。 秀吉との対峙では専好を命運共にする覚悟をみせた。

季(とき)

六角堂付近にある菓子屋の娘。 池坊家と仲が良く、花が好き。 北野大茶会で秀吉の悪口を言ったことで、10年以上経過したのち父母ともに死罪となる。

吉右衛門

お調子者でリーダーシップのある町人。 かつて娘が病に倒れた時、専好の花が見たいと言ったことで専好が夜中にもかかわらず駆けつけ花を立てたことがある。娘は幸せそうにして死んだが、吉右衛門にとっては専好が命の恩人のように感じていた。 六角堂をうろついていた浪人(もとをたどれば秀吉の差し金)を尾行し罠にはまって命を落とす。

千利休千宗易

織田信長を経て秀吉の茶頭をつとめる茶聖。 大阪なまりで何事にもビビらない男。 美に対してはとてつもなく頑固。 専好を清州城で初めて出会い、立花に専好の慢心を見抜くという鮮烈なファーストインプレッションを与えたのち、親交を深める。 専好のまえではただの気のいい大男おっさん。 けっこう年下の専好が大好き。切腹の日に書状を書いちゃうくらいには大好き。 専好とは花の稽古もたくさんしたし、たくさん笑った。 冬の六角堂本堂で利休・専好・専武の三人で稽古してときに戯れ朝方倒れるように寝落ちたりしたもはや青春の日々みたいな思い出がほんとうに空気感もうつくしい。 秀吉と対立し、茶人として曲げられない信念の前に自刃。

豊臣秀吉

百姓から取り立ててかわいがってくれたお屋形様(織田信長)が大好き。猿って呼んでいいのはお屋形様だけ!むしろ呼ばれてうれしい!!お屋形様のためなら死ねる!! とにかく見た目が猿で残念な秀吉。祭り好きでわがまま。 信長死後、天下を手中に収めた晩年あたり特に鶴松死後は、年を追うごとに我を失って全てをむさぼるようになる。狂っているように見えるが、お屋形様のことを忘れたわけではない。 本当は利休に認められたかった。

石田三成

冷酷無慈悲で無表情。狡猾。意地悪。わくわくするほど冷たい。 秀吉の言うことは素直に聞くけど、利休が大嫌い。利休のまわりも大嫌い。 六角堂を訪れ、専好に警告するシーンで発した「死を賜るぞ」は迫力にぞくぞくした。死神かと思った。 青と白が似合う色白美人だといい。目元涼やかそう。

前田利家

加賀百万石、槍の又左。 利休と並び秀吉に意見できる唯一の武将。利休と専好と親交がある。 勇ましいがゆえ無骨ではあるが、自らの美を見出すことのできる生真面目なおとこ。 涙もろい。 専好が秀吉に謁見したいと話したとき、僧侶ごときが太閤に会うことは大変難しいが自邸に秀吉を招く折には専好に花を立ててほしいことを提案してくれた。懐がひろい。 しかし専好がその席で秀吉と刺し違えた場合、自分の責任問題になりかねないことを危惧してもいた。そこは肝っ玉が小さくて残念。

 

 

印象的なシーン

  1. 秀吉が信長の訃報をうけ、悲しむ間もなく大返しして明智光秀を討つまで
    秀吉が狡猾でカッコイイ。お屋形様が純粋に大好きな猿が可愛く描かれつつ、信長が猿を可愛がる描写もたまらない。
  2. 清州城で専好の花を「怖い」と一蹴する宗易
    その花をみた利休以外全員がべた褒めしているのに利休だけが難色をしめした。 専好にもわからなかった慢心が分かったというのは、利休にだけ本質を見抜く力があるということで他の者の目が節穴ということではない。 ただ最初このシーンの利休はちょっと上からで嫌だった。
  3. 北野大茶会で利休と専好のブースが盛り上がる
    黒山の人だかり。明るくて楽しい。 それを見て人知れず泣いている利家もいい。
  4. 利休の首に白布をかけて一条河原で専好が号泣
    豪雨の中めちゃくちゃに泥を撥ねさせて駆け寄り号泣。 ほとんど愛している。
  5. 死地に赴くであろう専好に専武が利休からの書状を渡す
    専武のいい感じのシーンはたくさんあるけどここは最高。 翌日旅立つ専好を直接見送ることを感極まるのでできない弟は「利休様、兄上を手紙でとめてくださらなんだか」と言って泣くシーンも最高。
  6. 利家邸にて専好の花を見る秀吉
    清州城の在りし日の信長を思い出して号泣する秀吉。かわいいままの猿。 はないくさで勝つとはこういうことなんだなあ。

感想

天下の趨勢や歴史的流れの解説がわかりやすく書かれているので、難しくて読むのがだるいということはなかった。とてもライト。

茶道の説明にも『利休にたずねよ』には及ばずながらボリュームが割かれているのも好感度が高い。

その分華道の作法や道具について触れられている部分が物足りなさを感じた。もう一度丁寧に読んで学びたい。(覚えた単語やキーワード→立花、花を立てる、松が真、器、あしもと、軸、鋏、カンナ、斧)

人情話として気持ちをもっていかれることは多かった。涙をこらえたシーンも数か所。

 

アイキャッチはラストシーンから、松・紫のカキツバタ・猿・秀吉の落とした扇子を選んで作成した。

 

 

 

読書後に映画を鑑賞して

  • 絵師(れん)などの完全オリジナル要素が追加され、秀吉に文化人が挑むという構図をより強力に描いている。
  • キャストは主演の野村萬斎をはじめ、織田信長中井貴一、利休・佐藤浩市など豪華で魅力的。演技力も文句ないが、個人的に光成と専武は全然イメージでは違っていてがっかりした。俳優が悪いとかではない。
  • 花のうつくしさは繊細で研ぎ澄まさえていたが、花の迫力が伝わりにくいと感じた。
  • 利休と専好と専武の冬の本堂でのけいこのシーンなど、親交を深めるふたりのエピソードは削ってほしくなかった。うつくしい思い出が大胆にカットされまくっていて残念。
  • 小説と映画はまったくの別物として楽しんだ方がいいかも。私はもちろん小説推し。

【ネタバレ書評】宇佐見りん 推し、燃ゆ【第164回芥川賞受賞作】

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2021年6月18日読了。

個人的なアウトプット、ネタバレのある読書感想文。

感じたこと、気づいたことのまとめ。

読んだきっかけ

電子書籍ではなく紙の本で初回2日かけて読んだ。

宇佐美りんの2作目、芥川賞受賞作。

前作かかを読んでいるので同じ雰囲気を味わえるかと思って購入。

 

あらすじ

主人公あかりが高二の夏、推していた男性アイドルが暴行事件を起こす。

学校、家族、とことん上手くいかない、生きづらさを抱えた人生で、推しだけがあかりが自分を肯定できる場所だった。

推しの炎上、誹謗中傷、解散発表を乗り越え、遮二無二、全身全霊で推し続けたあかりは、暴行事件から1年7ヶ月後の引退コンサートにも参戦。

高校も中退、家族とも上手くいかず、バイトもクビになったあかりの全ての支えであった推しまでを失い、どうしようも無い気持ちの中、生を手放す選択もせず、不格好でも息をしていくことをやめない。

 

 

登場人物

あかり

主人公。高二。

彼氏なし。発達障害。二つの病名がついている。

勉強ができない。忘れ物を頻繁にする。部屋が片付けられない。みんなと同じようにできない。

定食屋でバイトをして給料は全額推しに貢いでいる。

推しカラー、祭壇、無限回収、DVDなどは3枚買う、生誕祭。

実生活とは一転し、SNSや運営するブログでは丁寧な記事を定期的に投稿、知性的で落ち着いた大人っぽい女性と思われている。推しの20年間の芸能活動の膨大なデータを、たった1年間で詳細までまとめ上げ、ファイリングしている。それはガチ勢としての権威性にもつながり、ファンの中でも一目置かれる存在。

 

上野真幸

あかりの唯一の推し。

顔がいい。 あかりの8つ上の25歳。

子役時代から活躍し、現在は男女混合アイドルグループまざま座の青担当。

リーダーではないが前回の人気投票は一位。

5歳の時、撮影で作り笑いを覚えた。自分のことを『誰か一人くらい、何かを見抜いてくれるかも』という気持ちを持ち続けている。

どこか孤独で、それを灯したような目力がある。

時に不器用であるものの、己の行動を人に委ねることはなく筋が通っているように見える。

ドライになれない、そんな人間らしい葛藤を持った人物。

 

成美

あかりの同級生。

高2の冬に二重整形手術。

前は有名アイドルを追っかけていたが、推しが留学により脱退。ロスで三日学校を休む。つまりあかりの体験を一足先に経験している。

現在はメンズ地下アイドルを追いかけ、チェキ10枚1万は安いと語る。

整形により推しとリアルに繋がりを持つことに成功。表記はないがセフレなのかもしれない。

 

バイト先の面々

昼は定食屋、夜は居酒屋。

ちゃきちゃきの女将さんと物腰穏やか店長二人(おそらく夫婦)、のこじんまりした店。

大衆向けであり客層は力仕事の男性客が主。

バイトの時給は1,000円。

あかりは二年強勤務したが無断欠勤を繰り返しクビにされた。

推しの予定に合わせてや金のために上限までなどシフト調整できることから、ある程度融通は効くようである。

また、推しについても女将さんが知っていることから、コミュニケーションはとれている。

あかりは推しに一直線で気づいていないが、普段高校生のバイトを取らないことのに、仕事できないことをわかってもそれ自体をクビの理由にしていないことから、できる限り温かく見守っていてくれていたのではないか。

 

家族

理想が高く厳しい人。

強い口調が目立つが、あかりは慣れてしまって無視することも。

時に頑固、ヒステリックなど更年期障害を思わせる。

祖母(母の母)と確執がある。

自分の母親の入院、あかりのこと、全てのことがうまくいかず睡眠障害を患っている。

体調が悪い中、仕事を頑張っている。

パートではなく会社員をしていそう。

普段女手一つで気を張っているだけに夫がいると気が大きくなるようだ。そのことから夫婦仲はよさそうである。

 

ひかり

あかりの2つ年上の姉。大学生。

優秀で何でも卒なくこなす。

妹に英語を教えるシーンなど姉特有の大人びた言動が目立つが、そうあろうと努力しているだけ。

大学受験など怒ったり泣いたり、年頃の女の子らしいナイーブな表情も見せる。

神経質で、いい子でいなければと思っている。

家の中で悪びれもせずふてぶてしくすら見えるあかりに対して、ひかりはいつもびくびくして親の顔色を伺う典型的な長子。

あかりばかり甘やかされていることがうらやましく嫉妬している。 母にもっと見てもらいたい、手をかけてもらいたい、つまり愛されたいのだと思う。

 

いかにも仕事のできそうな自信に満ち溢れた壮年。

普段は海外に単身赴任。

一人称、おれ。

ツイッター上で若手女性声優におっさん丸出しのさむいリプをしているのを、あかりに知られている。無論あかりは問い詰めるわけでもなく内心軽蔑している。

本人は子供を丁寧に諭しているようだが、感情論に走らず理路整然と正論を振りかざすので、とてもあかりに寄り添っているようには見えない。

いい父親像であろうとしているのがうすっぺらいので、説教が芝居じみていると感じる。あかりがイラつくものわかる気がする。

普段子育ての現場を離れている親、というのを強く感じた。しかし家族のために金を稼いでいることは肯定したい。

 

母方の祖母

2年前に胃ろうの手術からずっと入院している

 

SNS

いもむしちゃん

あかりと同担。

SNSだけの繋がりであるが、仲が良くコメントを一番多くくれるのも彼女。

成美によく似た表情豊かな文面。

成海にせよ、いもむしちゃんにせよ、あかりは底抜けに明るい天真爛漫な子と一緒にいるのが楽なんだろうなと感じた。

 

虚無僧ちゃん

セナくん推し。

ネイル、エナジードリンクチータラ、ハイブランド、ベリーショート。 などなどツイートから社畜だけどきれいなお姉さん感を漂わせる。

 

SNSの自分と現実の自分、その差異は人によって違うと思う。

自分から見て、全然違うかもしれないし、まったく同じかもしれない。 フォロワーから見て、全然違うかもしれないし、まったく同じかもしれない。

良い悪いではなくて、それがSNSなんだと感じる。

 

 

時系列

幼い頃

母と姉と風呂 姉は頭脳明晰だが自分は何をやらせても人よりできない

漢字テスト クラスで最後の一人になっても合格できなかった

 

高1 4月

家で、幼少期舞台を観に行ったピーターパンのDVDを見返して推しに出会いなおす

 

高1

姉と母の会話 夜二人が話しているのを聴いてしまう

母「負担になっていてごめんね」

姉「あかりは何にもできないんだからしょうがない」

 

高2 7月

推しがファンを殴る

2つの病名がつく(おそらく発達障害

みんなが難なくこなせることが自分にはできない

 

あかりの推しの膨大さ

権威性がありガチ勢としても有名

ブログにファンもいる 20年分集積したデータから推しのインタビューでの受け答えを予想がつくほど

勉強はできないけど推しのことなら整理整頓(写真フォルダ分けなど)がしっかりできる

ファンを殴ったこと、炎上していることを踏まえて、自分ができるのはこれからも推すとということだと考えるあかり

忘れ物が多く人、友人にも迷惑をかける、メモが増えていく

 

・車内

祖母のお見舞いの帰り

 

・家

CDについてくる人気投票応募券50枚

新しいCDを祭壇に飾る

部屋はごみだらけで汚くても推しのスペースだけは整頓されている

『押しは背骨』

今のところコンサートは中止にはならない

星座占い、推しのだけ見る、自分の星座は見ない

 

・バイト先

お客さんにハイボールちょっと濃くしてと言われても融通が利かない

上手くいかない、失敗ばかり

店にも客にも迷惑をかける

雑談が下手

忙しいとパニックになってフリーズしてしまう 

 

高2 8月

・人気投票 推しの順位は前回1位から最下位に

生半可な気持ちでは推せないという決意

金、体力、時間、自分の全てをかけてのめり込んでいく

缶バッジやブロマイドの無限回収

生誕祭でデコケーキ1ホール一人食い

ブログの毎日更新

 

高2 9月

無理をしすぎて体調を崩す

学校に行かなくなる

担任からこのままでは留年だと言われる

 

高2 3月

留年の決定、高校の中退 母との帰り道

二人とも茫然自失

 

中退して9月

・祖母の死

母の実家で家族4人泊まる

就活の話 父との会話の中であかりは悔しくも涙を見せる

一人暮らしを姉が発案

 

・一人暮らし開始

祖母の家もごみだらけ荒れ放題にしてしまうあかり

定食屋のバイトは無断欠勤が続きクビになってしまった

親に生活費を切ると言われているがまだ振り込まれている安心

 

中退して翌1月

・インスタライブ

クマのぬいぐるみに女の影、ゴシップ記事(20代女性と同棲)がガセでないと内心確信してしまう

窓の外が一瞬映る

推しが次のコンサートが最後だと電撃発表

解散発表という勝手なふるまいにファン困惑

新バイトすら見つかっていない家は汚い

 

・翌日の会見

ラストコンサートで推しが引退すること

左手の薬指に光る指輪

SNSでは推しの住所が特定される

それでもあかりは推すしかない、それがあかりが生きていることそのものだから

 

・ラストコンサート

渾身の愛をぶつけ、叫ぶあかり

『推しのいない人生は余生』

悪いことだとわかっていて、スマホで密録するが雑踏と雑音しか記録されていなかった

青い花柄のワンピース、青いリボンで参戦

 

・推しの住むマンションへ

ラストコンサートのブログ更新をしようとして決まり切らず散歩に出るあかり

推しのマンション、川を挟んで対岸にたどり着く

ショートボブの女性、洗濯のシャツ、彼女が指輪の人だという確信

推しは人になった

走って逃げた

 

・家に戻る、ラストシーン

めちゃくちゃにすることが、それがたかが綿棒のケースをぶちまけることだった。

自分の小ささ

推しのことが分かったつもりになって、そんなことできやしなかったというどうしようもない気持ち

四足歩行は背骨がなくて立てないってことかな。

格好悪くても、それでも人生は続いていくんだという、『希望』とは違う現実の描写。

 

 

 

好きなシーン

あかりの部屋

青色が強烈なまでに脳内に描かれる。

ごみで散らかるべたついた床と、臭いと湿気を含んだ布団や家具を涼やかなカーテンの青緑色が揺れて清めているようなイメージ。瑠璃色ライトも暗くどうしようもない部屋と心を肯定してきれいなものにしてくれている。

終盤、祖母の家で暮らすあかりだが、やっぱり一から創り上げられた自分の部屋のほうが印象的。

本の装丁、カバーの色がピンクで中身が青なのは、肉と背骨なのかな。

 

中退、母との帰り道

どこか世界から切り取られた浮遊感、昼下がりの客のすいた電車の中みたいな感じ。

あかりと母のふたりがお互いこれからどうすることも考えられず、心通わせる余裕すらなく、ただ、家路につくのがアイボリーっぽい褪せた白のイメージで脳内に描かれた。

とおい遮断機の音とか、小さい人影とか、カメラを思いっきり引きで撮影している感じがした。

 

マンションの対岸

全部の色を少しずつ混ぜた灰色、コンクリートの色を想像した。

鉄骨建築であり、くらい空であり、たくさんの人が暮らす川の水の色。

対岸であるにもかかわらず、ベランダの洗濯ものをはっきり視認できる距離ということで距離感が掴みにくかったが、近くて遠いあかりと推しの距離と同じなのかもしれないと思った。道中のバス終点の描写も、あかりの推し活の終了を示唆している気がして好き。

 

気づいたこと、感じたこと

  • かかにも感じた 宗教的な精神修行や思い込み、妄信を感じる。作風なのかも。
  • 相変わらず生々しいにおいの描写によって情景を想像させるのがうまい。

 

  • あかりは推し以外どうでもよくて、感情を表に出して人に伝えるのが下手に見える。しかし友人やSNSではそれを感じさせない。自分がダメだと思われていると察するとシャットダウンしてしまうのかも。
  • 上手く生きることができないあかりを支えているのが推しで、推していることで他の嫌なことも望んで引き受けている。
  • 苦しいことをめいいっぱい背負い込んで、浄化される境地にたどり着けると信じている。
  • あかりは多分恋をしたことがないし、別にしたくもないし、推しに恋していたわけではない。自己投影だと思う。自己投影からの感情移入だと思う。

 

  • インスタライブで解散発表した時はアイドルも人間だなと強く思った。結局、とおしてあかり視点のため真幸のことはあかりのフィルタを通した断片的情報しかない。

 

  • あかりは推しのことなら人より頑張って成果を出せる。それは他者には認められず、普段の生活をただ怠けているように見えてしまう。誤解される。それが発達障害というものなのかな、わかってあげられてないことがこれまで私にもあったんだろうな。私は発達障害ではないのでわからない。生きるのがつらい人が困っているとき、どうしてやればよかったのかわからないし、気づかないうちにあかりの家族のようにふるまったかもしれない。そう思うと、私には母も姉も責められなかった。

 

  • 推しに貢いで生活がままならないオタクの記事がツイッターで回ってきたことは一回二回じゃない。そういう推し活はやめましょう、危険です、そういう風潮がある。でも推しを持つということが、生きづらいだれかを活かしていることが今この瞬間も確実にある。

 

 

別紙参照

『かか』のネタバレ読書感想文はこちら

ibiza-end.hatenablog.com

 

中田敦彦YouTube大学『推し、燃ゆ』

動画に引っ張られたくないので二回読んで自分である程度まとめてから観た。

おおむね一般論の部分とあっちゃん独自の部分と備えられています。

芸人として推し視点の話、葬式をなぞらえる描写の解釈がおもしろかった。

 

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